【まとめ】新興国に投資する際に抑えておきたいリスク

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【まとめ】新興国への株式投資で儲けるために絶対におさえておきたいポイントで新興国株式市場の魅力を説明しましたが、新興国株に投資する際に押さえておきたいリスクについて今回は書いていきます。

ある国の株式市場が全体的に下落する状況って?

どこの国の株式市場も、その国の経済状況や政治状況が悪化すると株・債権・通貨のトリプル安を食らうことがあります。

新興国は、そもそもの政治的・経済的基盤が強くないため、世界の投資家から見限られると一気に資金が流出して、急激にその国自体が売り込まれていきます。

因みに日本は非常に特殊で、通貨だけは買われます。東日本大震災の時に、円は買いに買われUSD/JPYは70円台まで円高が進行しました。日本の生保が、保険金支払の為に大量に保有している対外純資産を日本に引き戻したときに、対外資産を円に変換する為に、自国通貨の円買になるためです。

 

然しながら基本的には、危機発生国から海外の人たちが資産を引き揚げるので、その国の株や債権等のアセットが売りこまれます。

 

次にアセットを売ったことにより発生した、その国の通貨を自国通貨に引き戻す為に、その国の通貨まで売られるという状況が発生します。

 

このような状況をアジア通貨危機と最近の南アフリカの政治的混乱、そして最近一番新しい危機であるチャイナショックという事例を用いて説明します。

 

新興国危機事例

アジア通貨危機

1997年のタイバーツの固定相場から変動相場への切り替えを契機としてアジア全体に広がった危機的な状況のことをいいます。

 

1980年代からの東南アジアは今後の成長国家として脚光を浴び、東南アジアへの資金の流入が起こりました。

 

その当時タイの通貨タイバーツは固定相場制をしいており、ドルに連動するようにペッグ政策を強いていました。一方、当時のアメリカはクリントン政権の元、強いドル政策を強いていた為、同時にタイバーツの価値も増加。

 

 

輸出偏重型の経済であったタイの経済は、通貨高により経済が傾いていきます。

日本も輸出が強いので円高になると経済が傾くのと同じ感じですね。ただ日本は以前ほど貿易に偏っているわけではないですが、当時のタイは貿易一辺倒でした。

 

 

更に成長により賃金が上昇してきたことにより、中国等の更なる新興国への企業の移転があいつぎ、流入超であった資金が流出超に逆回転していきました。

 

 

資金流出を防ぐために自国通貨を高く保って起きたい、また成長の為に行ってきたUSD建の借入金を自国通貨建で増加させない為に、タイ政府はドルの固定相場制を維持しようとしました。

この黄色部分については、簡単な例を用いて説明します。(簡単の為、実際のレートとは全くことなります笑)

100USDの借り入れをするとします。                   1USD=1THB の場合、自国通貨建THBの借入金は100THBとなります。

然し、THBが下落して、1USD=2THBとなったとします。              自国通貨建THBの借入金は200THBとなり返済が苦しくなります。

 

 

この為固定相場制維持を目的としたタイバーツ買、ドル売を行い介入し続けました。

然し、遂に介入の為のドルが尽きて降伏宣言として変動相場制への移行を発表しました。

 

既に実力に比して割高に評価されていたタイバーツは一日で18%下落、その後ほんの僅かな間でTHBJPYも4.8→2.4まで下落。タイの株式市場の指数であるSET指数はアジア通貨危機を経て、1400から200になんと7分の1まで下落しました。

 

タイの株式指数がこの1400を回復するのには約15年かかり、2010年代になってからと長い間癒えぬ大きな傷を負いました。

 

ブラジルの政治問題

 

上で説明したアジア通貨危機は経済的な問題により、その国のアセットと通貨が売り込まれましたが、今回は政治的な理由により株式市場が売り込まれるケースを直近のケースを用いて説明いたします。

 

ブラジルは汚職が横行しており、元大統領のルーラも汚職で大統領を辞任していましたが、その後副大統領から大統領となったテメル大統領にもマネーロンダリングなどの罪で昨年起訴された前下院議長の汚職スキャンダルに関与した疑いがあると報じられました。

 

これにより一日でブラジルの株式市場であるボベスパ指数は1日で10%ほど下落しました。

その後、一旦はこの問題は収束し落ち着きを取り戻していますが、新興国では政治が安定していない国も多く、株式市場が政治に大きく左右されることがあります。

2015年のChina Shock

これは皆さん記憶に新しいのではないでしょうか、2015年に短期間の間に株式市場が50%の下落をし、世界的な同時株安の発端となった経済的事件です。

 

チャイナショックについては経済構造と政治的な要因も大きくありますが、短期的な株式市場のバブルが崩壊したことが要因です。

 

チャイナショックの要因は、2008年のリーマンショックから始まります。

世界的に落ち込んだ景気の中、中国では4兆元(日本円で60兆円)規模の経済政策を行い世界景気が不調に落ち込むなか、独り勝ちの成長を実現していきました。

 

然し、この副作用で過剰生産設備を構築し、住宅バブルの発生、銀行の企業への融資残高の急速な伸びという副作用を齎しました。

 

中国政府が最も懸念したのは最後の融資残高の伸びの抑制で、企業は銀行からの融資を受けづらくなりました。融資総額がGDPの二倍を越え、大規模な金融危機を防ぐために融資残高の伸びを抑制する一方、当然急速な抑制は景気の急速な冷え込みを意味します。

 

そこで中国は株式市場からの資金調達に目を向けました。

中国の中央銀行総裁も株式投資をすることは実態経済に投資することであると煽り、官製相場である中国株式市場の火が付きました。

 

ここに更に個人のレバレッジ取引が始まりました。このレバレッジは非常に危険な外部信用取引というもので、10倍までレバレッジを掛けることが出来ました。

 

然も、この外部信用取引を提供している会社は、証券会社経由で個人の口座を監視し、個人が返済できず破産することを防ぐため、株価が危険な水域まで下落したら強制的なロスカットを執行するというシステムをとっていました。

 

政策的要因と、このような無茶なレバレッジ取引により中国上海株式市場は短期間で3000ポイントから6000ポイントまで駆け上がっていきました。

 

然しながら、この間の中国企業のファンダメンタルに変更はなく、レバレッジ取引の総額は30兆円以上に膨らみ、逆噴射が始まりました。ここで先程説明した、外部信用取引の強制決済が下落の速度を加速。一日で10%以上の下落を繰り返し、またバブル発生時の水準まで短期間で戻っていきました。

 

これによりレバレッジを取っていた人たちは大きく資産を失い、人によっては親族にまで借金をして取引を行っていた人もいるため、個人消費が大きく落ち込むという事態に発展し実態経済にも影響を与えていきました。

 

 

新興国株投資において注意すべきこと

新興国は日米欧のように経済的にも政治的にも安定している国ばかりではなく、それゆえに成長余地があるわけですが、熱気と共に危うさも兼ね備えています。

 

今回例にあげました事例は経済構造に問題があるケース、政治的に問題があるケース、株式バブルが発生しているケースです。そもそもこのような問題があるかを分析することも重要ですが、最も重要なのは市場がこのような危機を織り込んでいるかどうかという点です。

アジア通貨危機も中央銀行がいきなり変動相場制に移行を発表するとは織り込んでいませんでした。

ブラジルのケースも大統領にスキャンダルが発生することは、事前に予想されていませんでした。

中国のケースは主に中国株を買っているのは中国国内の投資家で、国外の投資家は気づいていても彼ら中国国民が自分たちがバブルを形成していると気づかずレバレッジを掛け続けたことが原因です。

政治的、経済的に悪い事象が発生していて、それを織り込んでいる場合、寧ろアップサイドを見込めるので、このような事象が今後解消されていくかどうかということを分析することが重要となってきます。

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