ベトナム株式投資の魅力とリスク(連動しないETF等) 〜おすすめの投資方法〜

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皆さんの中には、新興国といえば距離的にも近いということもあり、東南アジアを意識される方も多いと思います。

【参照】
ASEANの魅力と課題を解説
ASEANの概要と成長率

今ASEANの中でも多くの投資信託も組成され代表的な新興国株市場であると認識されているベトナム株式市場について検証していきたと思います。

ベトナム経済とベトナム株について分析した後に、おすすめの新興国株投資戦略について紹介していきたいと思います。

経済発展の条件を満たしているか

まず基本となる人口構造ですね。

日本の経済発展も終戦期に産めよ増やせ1億人時代に大量に出産したことが、将来の爆発的な経済成長に繋がっています。

私も祖父は7人兄弟です。当然働き手(=15歳~60歳の労働人口)が今後大きく増えるのであれば、大きな成長が見込まれます。

現在のベトナムの人口ピラミッドは以下のようになっています。

ベトナムの人口ピラミッド

(参照) ベトナムの人口ピラミッド

綺麗な形ですね、Volume Zoneが10代後半から30代前半なので今後20年から30年は、現在の労働力が洗練化されながら労働人口が増えていくという形になっています。

次にこの人的資源の質についてですが、日本が発展した理由に日本の教育水準の高さがあります。

日本はマッカーサーも驚愕するくらいに、脅威の識字率99%を誇っており、また論語と算盤教育により基本的な教育水準が非常に高かったという点が、その後の科学技術の発展に寄与しています。

人口が理想的なピラミッド構造を誇っているアフリカ諸国がいまいち発展できないのは、この点つまり教育水準の低さが大きく寄与しています。

ベトナムは識字率は93.4%、義務教育である中学までは基本的に全員が通っているというところからこの点も問題ない水準かと思います。

経済成長は持続的か

まずはベトナムの近年の成長率をご覧ください。アジアショックを抜け出した後からは非常に堅調に推移していることが読み取れます。

リーマンショックの2008年~2009年ですらも5%程度の成長を維持しております。

ベトナム経済の成長率の推移(引用)世界経済のネタ帳

問題はこの成長が持続可能かということですが、現在大卒の初任給が5万円以下と依然として安く、将来バングラデシュ等の更に安い賃金の国にとってかわられる可能性は高いですが、暫くは大丈夫だといえそうです。

産業構造が偏っていないか

ロシアやサウジアラビアのように極端に資源に産業構造が偏っている場合は、原油価格下落のようなショックに耐えられません。

ベトナムの産業構造のバランスがどのようになっているのかを見てみますと以下のようになっております。

ベトナムの産業別のGDPの構成

ある一つに偏っているわけではなく、バランスのいい産業構造といえますね。

ベトナムといえば製造業偏重から思われている方も多いと思いますが、意外にもサービス業が大きなPortionを占めていることがわかります。

次にGDP成長に占める寄与度ですが、大学で経済学部だった方は思い出してほしいのですが、GDPは個人消費、民間支出、政府支出、純輸出(輸出-輸入)で構成されます。

国内景気の浮揚を伴った上昇の場合は個人所費の寄与度が大きく、ベトナムもこの傾向が見て取れます。

ベトナムの経済成長の支出面からの寄与度
【引用】経済産業省

貿易偏重の成長かと予想していましたが、意外と成長Driverは国内需要拡大ということが分かり、健全な経済成長を行っているといえます。

ベトナム株指数のチャートのモメンタムはどうか?

それでは、いよいよ本題の株式市場にFocusしていきたいと思います。

個別銘柄を分析する前に、まず日本でいうところの日経平均に該当するVN30指数の直近5年間の値動きをご覧ください。

(引用:Reuter)

2018年初頭まで急速に値を上げていましたが、その後は下り基調となってきています。

一旦オーバーバリューされていた分が解消に向かっている段階といえます。それでは各個別株が現状どのような状況なのかを見ていきましょう。

 

ベトナム株個別銘柄投資は割安か?

ベトナムの株式市場のPERは現在20近くです。

このPERというのはPrice Equity Ratioというもので、
時価総額(株価×発行済株式数) ÷ 税引後純利益 で算出されます。

この指標は分かりやすくというと、自分の持っている株の元本を何年間で稼ぎ出してくれるかということを意味しています。

つまりPERが低ければ低いほど割安な銘柄が多いということです。PERが10倍であれば10年で株価を稼ぎ出し、20倍であれば20年かかるということですね。

【参照】
株式投資における重要指標PBR・PERをわかりやすく説明する

因みに標準的なPERは14倍から16倍となっており、日経平均株価なんかは16倍程度にとなっています。

新興国のような成長余地が高いような株式市場では分母の利益が年々伸びていきますので、20倍程度であれば想定内の数値といえるでしょう。

以下2018年7月時点のVN30銘柄を構成している主要銘柄のPERとPBRになりますので、参考にして頂ければと思います。

ベトナム開発銀行PER:19.51  PBR:2.0
ビンミンプラスチックPER:11.19  PBR:2.0
バオベトグループPER:37.84      PBR:3.22
ホーチミン市インフラ投資PER:5.67        PBR:1.19
コテコンズ建設PER:6.95       PBR:1.46
ヴィエティンバンク(CTG)PER:17.53     PBR:1.54
ハウザン製薬(DHG)PER:23.93     PBR:4.89
ペトラベトナム化学肥料PER:10.84     PBR:0.81
FPT情報通信PER:14.69     PBR:2.44
ペトロベトナムガスPER:18.10     PBR:3.87
ジェマディプト港湾PER:13.02     PBR:1.18
ホアファット鉄鋼グループPER:9.52        PBR:2.51
キンバックPER:10.13      PBR:0.62
キドグループ PER:21.13      PBR:0.89
軍隊銀行PER:14.90      PBR:1.71
マサングループPER:29.70      PBR:4.49
デーゾイジードンPER:14.83      PBR:4.84
ペトロベトナム第二PER:10.24      PBR:1.56
ビナミルクPER:25.84      PBR:9.28
ノバランド不動産PER:15.89      PBR:3.48
ペトロベトナム・ドリングPER:181.76      PBR:0.41
FLCファロスPER:32.0           PBR:6.07
サイゴンビールPER:34.71          PBR:10.10
サイゴン証券PER:14.49         PBR:1.79
サコムバンクPER:21.17         PBR:0.90
ベトコムバンクPER:25.73        PBR:3.66

 

ベトナム株購入方法ーSBIや楽天証券で購入可能ー

新興国によっては現地で証券口座を開き場合によっては当局からの許可を得ないと投資することが出来ない新興国株式市場もありますが、ベトナム株は日本の証券会社も積極的に取り扱っています。

最も手軽に購入する手段としては、SBI証券や楽天証券を用いる方法が挙げられます。

SBI証券と楽天証券は両方ともETFや投資信託を購入することが出来ますが、個別株を取引き出来るのはSBI証券のみとなっています。

SBI証券の取り扱い銘柄については以下ご覧頂ければと思います。
SBI証券のベトナム株取り扱い銘柄

ベトナム株購入方法①:ETFや投資信託で指数連動型の金融商品を購入するー全く指数と連動しない投資成績ー

一つ目は株価指数に連動するETFや投資信託を購入することです。

ETFは取引時間中に普通の株式と同様に売買が出来ますが、投資信託は購入申し込みの翌日、解約申し込みの翌日に執行されるという性質の違いはありますが、指数に連動する目的で運用されているという点では同じです。

これらの取引手法の欠点は売買手数料と株価指数への連動率に低さです。

売買手数料については売買2%程度、つまり1取引で4%と地味に馬鹿にできない程度に大きいですが、本質的に重要なのは後者です。

以下楽天証券やSBIで取引できるヴァンエック・ベクトル・ベトナムETF(青)ベトナム株式指数(オレンジ)の投資成績をご覧ください。

市場平均に連動しないベトナム株ETF

全く連動していないことが分かります。そもそも新興国のような取引ボリュームが少ない投資先では売買手数料もかかることから連動しない性向がありますが、更にベトナム株式市場の外国人投資規制が乖離率を高めています。

ベトナム株は外国人が49%以上株式を保有できないという規制があるので、魅力的な銘柄は現地で購入されていてETFを外国の証券界者やファンドが組み入れることができないのです。

ベトナム株の成長を享受できないETFや投資信託への投資は控えて置いたほうがよいでしょう。

ベトナム株購入方法②:個別株に投資する

ベトナムへの個別銘柄の投資は日本の個人投資家からも可能で、SBI証券で実際に取り扱っています。

しかし、この投資手法も難点が二つあります。

一つは売買時の手数料が往復で4%発生することです。これは投資信託やETFと同じですね。

つまり4%以上値上がりしないと損失が発生するという点です。

然し、当然魅力的な株式市場なので今後倍々で伸びていく銘柄も多く存在しているので、銘柄選択さえ間違えなければ、基本的には且つ可能性が高い投資といえるでしょう。

二つ目は銘柄選択の難しさです。

当然聞いたこともないような企業の、英語の財務諸表を分析しなければいけませんし、

日本の株式市場の銘柄分析ですら難しいのに、一段と難易度はますでしょう。

株式投資に自信があり、経験も実績もありましたら個別銘柄での投資をお勧めしますが、そうでないのであれば超長期投資として長いトレンドに乗っかる為にETFや投資信託に投資して寝かせておくことをお勧めします。

新興国への株式投資で成功する為には

本記事で分析した通り、ベトナムは国としてのポテンシャルが非常に高く、今後も間違いなく経済成長が見込める国でしょう。しかし、ETFが実際の指数に連動しない上に、個別株を選択するのが難しいという困難があります。

ベトナムに限らず、新興国の市場ではこのようなことがよく起こります。私はこれまでの自身の経験から、新興国投資で収益を上げるに当たって、個人投資家が打ち当たる困難は大きく3つに分類されると考えています。

1) そもそもどの国の株式市場が成長余力を保有しつつ割安に保たれているのか、全ての国の市場を分析するのが難しい

2) 魅力的な株式市場において、どの固有銘柄が市場の上昇以上の伸びを見せる有望銘柄なのか、個別株の分析が難しい(特に、言語の壁もあるので)

3) 先行者利益が得られるような本当に有望な新興国というのは、大抵、法整備などが整っておらず、投資に当たっての手続きが煩雑

私自身は、このような困難を乗り越えて真に魅力的な新興国へ資金を投下するため、新興国投資を専門的に行っているヘッジファンドに資金を預けています。(参考:ヘッジファンドの投資手法の種類とヘッジファンドの顧客について解説する

彼らは株式投資のプロとして、世界中の有望な株式市場を網羅的に分析し、その中でも優秀な企業に対して集中的に投資を行っています。英語で出される有価証券報告書も、彼らは問題なく分析します。

また先行者利益を得るような踏み込んだ投資をしているのも特徴です。一例として、私が投資しているヘッジファンドが現在注力している市場にイランの株式市場がありますが、イランは投資魅力が非常に大きく残されています。

大前提としてイラン経済は理想的な人口構造に加えて消費中心の安定した成長を遂げており、将来有望な新興国です。

しかしイランが特に投資先として優れているのは、まだ外資が入っていないため、割安かつ高配当のまま株式市場が放置されているからなのです。

これは制裁の影響で外国人投資家の参入が抑制され、国内も強烈なインフレにより株式投資ができなかったことが要因です。その為、現在イランの株式市場は以下のような状況になっています。
・ 主要な銘柄でもPERは4~6倍
・ 配当利回りが15%以上の銘柄がごろごろ
・ 投資信託やETFによって外国人がイランに投資することは、まだ出来ない

私の投資先のヘッジファンドは、イラン株が非常に魅力的であることにいち早く気付き、イラン当局からイラン株投資許可をえるために動き出し、2017年に恐らく日本人で唯一イラン株に投資する権利を取得したそうです。こういったアプローチは、個人では難しい動きです。

新興国への株式投資で成功したいという場合には、こういった新興国投資のプロに資金を預けて他者に先駆けてエマージングマーケットの成長を享受することを考えるのも方法の一つなのではないかなと思います。

パキスタンの株式市場の例もあるように、大手の証券界者が乗り出しETFや投資信託を組成しだしたときに、その国の株価は本格的に上昇していくものです。その一歩手前に、何かしらの方法でその市場へ投資をしていることが大切です。

先行者利益をどのように得るかが、新興国市場への投資における最も重要なポイントだと私は考えます。

以上。上記で言及した、新興国へのエッジの効いた株式投資を行っているヘッジファンドであるフロンティア・キャピタルについて詳しく知りたい方は、以下からどうぞ。

⇒ フロンティア・キャピタル(Frontier Capital)の投資ファンドとしての魅力やリスクを解説する

また、ファンドやETFを含め、新興国に投資する際のおすすめ度ランキングは以下にまとめていますので、興味ある方はのぞいてみて下さい。

それでは!

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