ひふみ投信の運用手法を組み入れ銘柄であるパナソニックの分析を通じて徹底解剖(3月25日)

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こんにちは!ワタルです。

今回はひふみ投信の組み入れ銘柄であるパナソニックについて分析しています。

【参照】
評判のひふみ投信の魅力を解説する~運用方針・利回り・手数料を徹底解剖~
ひふみ投信組み入れ銘柄:三井物産研究:(3月19日)

パナソニックの概要

まずパナソニックの概要からですが、ひふみ投信の組み入れ比率第2位で1.7%の構成比率となっています。

2017年11月の時点では20位以内に入っていなかったことから新規で組み入れたことが分かります。新規に組み入れていきなり2位ということは相当期待しているというこですね。

パナソニックは言わずとしれた旧松下電器で松下幸之助氏が創業した大手家電メーカーです。ちょっと前に巨額減損で8000億円もの赤字を叩き出し倒産の危機も騒がれていましたが、最近は見事に回復してきております。

パナソニックといえば家電ですが、直近はEVシフトを進めるトヨタと車載電池で協業検討というニュースが出ている通り、電池を含め車載事業に力を入れており2022年の世界トップ10入りを目指して邁進しています。

市場規模結構でかいですね。

(参照:パナソニック)

事業計画としては以下を想定しているみたいです。

理論株価の算定:概要

それではパナソニックの理論株価を算出していこうと思いますが、まず理論株価の算出方法について概要を説明すると、理論株価の算出式は以下になります。

理論株価=(純資産価値① + 今後の事業価値②) ÷ 発行済株式数③

ここで①と②をそれぞれ③で割ることで

理論株価=一株当たり純資産価値① ’+ 一株当たり今後の事業価値②’

と表すことが出来るので、①’と②’について詳しく分析していきます。

理論株価:一株あたり純資産価値①’

まず純資産価値から見ていきたいと思います。因みに現在の発行済み株式数は24億5000万株です。

純資産は資産から負債を引いて求めるので個別に見ていきます。

【資産】

現金と営業債権だけで2兆円持っているってすごいですね。

【負債・純資産】

財務諸表をそのまま読むと純資産は資本の部の親会社の所有者に対する持ち分1兆7470億円になるので、一株当たりの純資産価値は713になります。

ここから資産の部分を保守的に見積もります。棚卸資産を半分に割り引いて5000億円、有形固定資産を1兆円に過小評価して、のれんを0とすると株主に帰属する持ち分は1470億円となるので、保守的な1株あたりの純資産価値は60円になります。

これは非常に保守的な算定で、パナソニックの製品が全部半額になれば全員が買うでしょうし、パナソニクの向上を現在の1.4兆円の価値を1兆円で売れば買う企業があるだろうという想定です。

つまり一株あたり純資産価値は以下のようになります。
Min:60円 ~ Max 713円

理論株価:一株あたり事業価値②’

それでは今後の事業価値について考えていきましょう。

前提として、資本収益率を10%とし、今後10年間の利益を現在に割り引いて計算することにします。

資本収益率は投資家の求めている運用利回りで10%に設定されることが多いです。このブログでも年間10%程度の安定した利回りを求めているので特に違和感の無い水準です。

ROEは直近5年安定していて平均の10%を使用し、配当性向はパナソニック社が自身で30%程度としていることを参考に計算していきます。

イメージとしては以下のような感じですね。

【1年目】

【2年目】

これを10年目まで続けて、純利益の割引現在価値を合計します。

【1年目】
現在の株主資本は1兆7470億円ですので、利益は10%を乗じ1740億円。このうち30%の522億円は配当金に1,218億円を自己資本に組み入れ再投資。

1年目の利益の1740億円の割引現在価値は1740億円÷(1.1) = 1581億円

【2年目】
1年目の再投資額を含めた株主資本は1兆8688億円ですので、利益は10%を乗じ1868億円。このうち30%の558億円は配当金に1,310億円を自己資本に組み入れ再投資。

2年目の利益1868億円の割引現在価値は1868億円÷(1.1)² = 1543億円



このようにして10年目まで求めた現在の割引価値ベースでの利益を足し合わせた金額は1兆4067億円となります。

これを一株当たりの価値に割りなおすと、574円となります。

理論株価:まとめと考察

つまり純資産価値と今後の事業価値を足し合わせると現在の理論価値は以下のようになります。
Min:634円 ~ 1287円

10年存続として見積もっている為、若干保守的な数値ではありますが、現在の株価1600円という水準から考えると若干割高にように考えられます。

然し、ひふみ投信が組み入れたということは何かしらの、考えがあるからだと想定されます。

ひふみ投信の運用者である藤野氏は著書「投資バカの思考法」の中で株価は利益に連動するという考えを持ち出されています。(参照:ひふみ投信創設者藤野英人氏の思考法1~投資バカの思考法を読んで~)

その為、未来の株価について考察していきたいと思います。

未来の株価についての考察

上記では今現在の理論株価について分析してきましたが、ある時点での株価の算出式に以下のような手法があります。

株価 = EPS × PER

EPSは一株当たりの純利益で、純利益を発行済株式数で割ります。

PERは株式の人気度合いで、低い方が割安と言われます。現在日経平均は12倍台で割安と言われていますが、通常は14倍~16倍となっています。然し、業界毎にこの数値は異なるので、大手家電業界の平均値を用いたいと思います。

将来のEPSの算定

2018年3月期の純利益は2100億円見込みで24.5億株で割ると85.8円になります。

現在の売上と純利益は以下です。
売上:7兆9500億円
純利益:2100億円で
売上純利益率:2.64%

来年度の純利益は2500億円を目標としており、これによりEPSは102.04円になります。

また会社も、配当性向30%とすると、今年2100億円のうち1470億円を再投資、来年2500億円のうち1750億円を再投資したとします。

来年のROEは2500億円÷(1兆7470億円+1470億円)=13%なので、これが再来年も継続したとします。

すると自己資本は1兆7470億円+1470億円+1750億円=2兆690億円

再来年の利益は2兆690億円×13%=2680億円となります。

纏めると順調にいけば
2018年3月:2100億円(1株あたり85.8円)
2019年3月:2500億円(1株あたり102.04円)
2020年3月:2680億円(1株あたり109.38円)

という風になります。

PER

現在のPERはパナソニックは18.19です。

日経平均のPERは12.22です。

家電の平均的なPERは以下です。
ソニー 13.43
パナソニック 18.19
シャープ 22.65
三菱電機 13.3
平均 16.89

この三つのパターンと更にパナソニックに注目が集まりPERが20倍となった場合の2018年3月~2020年3月の株価を算定します。

現在のパナソニックのPER (18.19)

2018年3月:EPS 85.8 × 18.19= 1560円
2019年3月:EPS 102.04×18.19= 1856円
2020年3月:EPS 109.38円×18.19= 1989円

現在のパナソニックのPER (12.22)

2018年3月:EPS 85.8 × 12.22= 1,048円
2019年3月:EPS 102.04×12.22= 1,247円
2020年3月:EPS 109.38円×12.22= 1,336円

家電業界の平均PER (16.89)

2018年3月:EPS 85.8 × 16.89= 1,449円
2019年3月:EPS 102.04×16.89= 1,723円
2020年3月:EPS 109.38円×16.89= 1,847円

パナソニックに注目が集まった場合のPER (20)

2018年3月:EPS 85.8 × 20= 1,716円
2019年3月:EPS 102.04×20= 2,040円
2020年3月:EPS 109.38円×20= 2,187円

まとめ

現在の株価1560円は現在の理論株価に比べて割高であり、ひふみ投信の組み入れ意図としては将来の利益の加速とそれに伴うパナソニックへの注目が集まりPERが20倍を超えることを見込んだ組み入れと思われます。

確かに近年の電気自動車への動きはすさまじく、今後この動きが加速して関連銘柄のパナソニックの期待が急騰(つまりPERが急騰)することを狙った投資なのだと考えられます。

つまりこれからホットになるであろうテーマに注目した投資であるといえるでしょう。パナソニックへの投資は明らかに前回の三井物産のような割安投資ではなく、成長株投資ということですね。

また一つ注目するのは藤野氏はIR資料に社長や役員の顔写真が載っている会社に投資をするとしていますが、パナソニックもこの条件を満たしています。

これは役員が責任を全うするという決意の表れと藤野氏はみているのです。

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