ひふみ投信の運用手法を組み入れ銘柄である三井物産の分析を通じて徹底解剖:(3月19日)

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こんにちは!ワタルです!

前回ひふみ投信の魅力について評判のひふみ投信の魅力を解説する~運用方針・利回り・手数料を徹底解剖~で解説しましたが、今回から、ひふみ投信がどのような銘柄を組み入れているのかを分析していきたいと思います。

ひふみ投信はもともと中小の成長銘柄投資を得意としていましたが、直近の純資産額の急激な増加んい伴って大企業もポートフォリオの20%程度組み入れています

第一回は私が総合商社出身ということもあるので、組み入れ率第3位の三井物産を詳しく銘柄分析していきたいと思います。

三井物産の概要

日本最古の商社で三井家の支援のもと益田孝によって明治初期に設立された総合商社です。

第二次世界大戦の財閥解体までは商社業界Topでしたが、財閥解体後の再集結つまり大合同が遅れたため、三菱商事に後塵を拝し、最近は伊藤忠商事にも押され気味で利益ベースでは第三位の総合商社となっています。

以前は商社は国内と国外を繋ぐパイプ役、つまり仲介役でしかなかったのですが、それだけでは時代の波に取り残されます。

今のビジネスの大半は事業投資、つまり国内や海外の魅力的な企業に投資して、そこで上がった利益を持分法で取り込んだり、株価売却益で利益をえるという事業形態になっています。

要はやっていることはPrivate Equityと同じようなことで飯を食っています。

資源分野は商社トップで資源価格高騰時の爆発力は高い商社です。

なぜ株価は割安なのか?

それでは三井物産の指標について以下をご覧ください!

株価:1,837円 (3月19日)
時価総額(株価×発行済株式数):3.3兆円
発行済株式数:1,796,614,127

予想PER:7.5
PBR:0.81
配当金:70円

商社業界全般に言えることなのですが、日経平均のPERが14倍と言われる中で、非常に割安に見積もられています。

株価= EPS × PER

で表され、EPSは一株当たりの利益なのですが、PERは人気を表す指数なので日経平均の半分くらいの人気しかないということですね。

これは投資家が、本当に商社の投資にそれだけの価値があるのか?資源価格下落時のように減損するんじゃないの?という懸念がある為、その分がDiscountされて評価されているんですよね。

実際事業も多すぎて、社員ですら何やってのか分からないのが、総合商社なんです。

理論株価の分析

PBRが0.81ということで、大型銘柄にしてはかなり割安な水準ではありますが、実際財務諸表の質としてはどうなのかという点を詳しく見ていきたいと思います。

理論株価は以下の式で算出されます。

理論株価=(純資産価値① + 今後の事業価値②) ÷ 発行済株式数③

ここで①と②をそれぞれ割ることで

理論株価=一株当たり純資産価値① ’+ 一株当たり今後の事業価値②’

となります。①’と②’について詳しく分析していきます。

一株当たり純資産価値の算定

まずは一株あたり純資産の方から算定していきましょう。

純資産は資産から負債で算出されますので、まずは以下の直近の資産と負債を見てみましょう。

資産

やはり商社の資産の中で、目を引くのはこの赤枠ですよね。要は事業投資としてお金を突っ込んでいる部分になります。

この三つで6.3兆円にも上ります。では資産に対する負債はどうなっているでしょうか。

負債

負債を見て頂ければわかるのですが、長期負債の金額の大きさが目を引きますね。しめて3.75兆円です。

要は長期借入金で借入して、期間の長い事業(プロジェクト)に投資して、収益を得ているというビジネス形態となっているのです。

純資産価値

では純資産価値はどうなっているのでしょうか、まずは普通に求めていきましょう。

負債から純資産を引いた金額は、上の負債欄の図に記載されている、資本合計の4.46兆円となります。

これを発行済株式数(1,796,614,127)で割ることで一株当たり純資産価値2,482円が求められます。

既に純資産価値だけで現在の株価1,837円よりも安いですね!!割安銘柄だとなる前に、保守的に純資産価値を見積もってみます。

私がいつも行っているネットネット株基準ネットネット株って何?ベンジャミン・グレアムの投資手法を分かり易く解説<図解有り>は現金価値が時価総額を上回っている銘柄なのですが、この基準は三井物産は当たり前ですが、満たしていません。

寧ろ、そんなことしてたら投資家から何をしているんだ三井物産は、ちゃんと資金を投資して資本価値を増やしなさい!と株主総会で総スカンをくらいそうですね。

今回の保守的な純資産の価値については、資産の欄でのべた事業投資の6.7兆円を3分の2の4.4兆円に見積もります。

根拠としては資源商社の三井物産としては、原油価格が現在の60USD/BBL近辺から、また減算を行った時点の40USD/BBL近辺に下がった場合を想定しています。

然し、これは実はかなり保守的な算定で何故なら既に物産は資源価格が暴落した時に減損会計を行っているので、更にここから減損が発生するというよりは減損の戻し入れ益が発生する可能性が高いと思います

このように算出した保守的な純資産は4.46兆円から資産が6.7兆円⇒4.4兆円にへった2.3兆円を減額して、2.16兆円となります。

このようにして見積もった一株当たり保守的純資産価値は1202円となります。

つまり現在の三井物産の純資産価値は以下のようになります。

Min 1,202円 ~  Max 2,482円

一株あたり今後の事業価値

まず前提として、資本収益率は10%と仮定し、10年間の利益を割り引いて計算することにします。

資本収益率は投資家がどれだけの利益を株式投資によって求めるかということで、だいたい10%に設定されることが多いです。このブログでも年間10%程度の安定した利回りを求めているので特に違和感はありません。

また10年間としたのも、いくら三井物産といえど10年以上生き残っていない可能性もあるので、保守的にこの10年後以降については考えないものとします。

今回は二つの手法、つまり成長するモデルと成長しないモデルで考えていきたいと思います。

成長しない場合のモデル

それではまず、利益が成長しない場合のモデルですが、三井物産の今年を含めた過去3年は丁度資源が大きく下落し初の赤字会計を出した2016年3月期、底打ちした2017年3月期、資源価格が復調し始めた2018年3月期と分かれています。

2016年3月期:▲830億
2017年3月期:3060億
2018年3月期:3500億※
平均                1910億円

※2018年3月期は4400億予想ですが、一過性利益900億を除きました

様々なケースを想定する為、以下のパターンを考えます。

毎年の純利益が1000億円が継続

この1000億円という数字は非資源分野の中で、安定した収益を出すインフラ系の利益のみが出続けた場合という保守的な算定です。

成長しないモデルの場合、1000億円を①とした場合の資本収益率10%、10年存続した場合の現在の事業価値は1000億×6.1 = 6100億円になります。

これを一株あたりに直すと6,100億円 ÷ 1,796,614,127 = 339円となります。

毎年の純利益が3年平均の1900億円が継続

これは先程求めた平均的な純利益を元に算出されたものですが、これもかなり保守的な数値となります

というのも、2016年3月期は減損して膿をだしたので、大きな赤字が出たため、その水準まで下がっても追加の減損が発生しない為です。

然し、ここではこれも平均に組み込んで1900億円を保守的な平均利益として考えます。この場合の一株あたりの事業価値は先程の339円×1.9倍 =645円となります。

この二年間の巡航速度3000億円を維持した場合

何事もなければこれくらいの収益は出せる会社なので、これを元に勘案すると一株あたりの事業価値は先程の339円×3倍 = 1017円となります。

まとめ(成長なしVer.)

いままでの議論から三井物産が成長しない前提の1株あたりの今後の事業価値は以下のようになります。

超保守的水準 339円
保守的水準 645円
通常ケース 1017円

成長する場合のモデル

当然企業なので成長を前提にしない方がおかしいので、上記は元々の算定方法自体が保守的なものになります。

成長するモデルについては、ROEを元に算出していきたいと思います。

その前に前提として三井物産は高配当企業で知られており、配当金が今期でいうと一株あたり70円配当をしている為、稼いだ金額の中で追加投資する分からこの分を除きます。

因みに70円の配当が10年間続いた場合の、現在価値は先程の成長しない場合の式を使って、70円 × 6.1倍 = 427円が配当価値になります。

ROEは自己資本を使って以下に効率よく利益を上げているのかを測る指標なので、毎年の利益については以下の式で求めることが出来ます。

自己資本× ROE

そして、この中から配当金分つまり70円×1,796,614,127株 =1250億円を除いた分を再投資して、そこにROEを掛けることにより翌年度利益を算出していきます。

図にすると以下のような感じになります。

初年度

二年目

毎年の純利益から配当を除いた分の割引現在価値の10年分+先程算出した10年間の配当金価値427年の合計が今後の事業価値となります。

三井物産の過去5年平均のROEは以下の通り7%となっております。
2013年3月期 9.7%
2014年3月期 11%
2015年3月期 7.7%
2016年3月期 ▲2.2%
2017年3月期  8.6%
平均    7.0%

今回は保守的に5%、平均の7%、好調の10%という3パターンで見ていきます。

保守的な5%の場合

1年目
純資産4.46兆円 × ROE5% = 2230億円
ここから配当金1250億円を除いた980億円を再投資。

980億円の現在価値は980億÷1.1(資本収益率10%で割引) = 891億円

2年目
純資産(4.46兆+再投資980億円) × ROE5% = 2279億円
ここから配当金1250億円を除いた1029億円を再投資

1029億円の現在価値は2年間分割り引いて1029億円÷(1.1)² = 850億円



と10年目までの現在価値を足し合わせ7291億円

一株当たりの事業価値は7291億円÷1,796,614,127株=406円と先程求めた配当金の価値427円の合計の833円となります。

5年平均ROEの7%で算出した場合 (配当無成長)

1年目
純資産4.46兆円 × ROE7% = 3122億円
ここから配当金1250億円を除いた1872億円を再投資。

1872億円の現在価値は1872億÷1.1(資本収益率10%で割引) = 1701億円

これを10年目まで行った場合の現在価値の合計は1兆5074億円となります。

一株当たりの事業価値は1兆5074億円÷1,796,614,127株=839円と先程求めた配当金の価値427円の合計の1266となります。

5年平均ROEの7%で算出した場合 (配当成長モデル)

ここで、いやいや7%成長する場合配当金も成長するんじゃないの?と考える方もいらっしゃると思うので、配当金が年率5%の勢いで成長した場合も算出していきましょう。

1年目
純資産4.46兆円 × ROE7% = 3122億円
ここから配当金1250億円を除いた1872億円を再投資。

1872億円の現在価値は1872億÷1.1(資本収益率10%で割引) = 1701億円

ここまでは同じです。では2年目はどうなるでしょう。

2年目
(純資産4.46兆円+再投資1872億) × ROE7% = 3253億円
ここから配当金1250億円×1.05=1312億円を除いた1941億円を再投資。

1941億円の現在価値は1810億÷1.1(資本収益率10%で割引) = 1496億円




これを10年後まで足し合わせた現在価値の合計は1兆3159億円

そして配当価値は
70/1.1+(70×1.05)/1.1² ・・・・ 70×(1.05)9乗 / (1.1)10乗
=520円とります。

その為、1株あたりの事業価値は 1兆3159億円÷1,796,614,127株 = 732円と配当価値520円=1252円となります。あんまり変わらないですね。

まとめ

いままでの分析を通じて①’の純資産価値は

Min 1,202円 ~  Max 2,482円

で表され、事業価値は

①成長しないモデルでは
超保守的水準(純利益1000億) 339円
保守的水準(純利益1900億) 645円
通常ケース(純利益3000億) 1017円

②成長するモデルでは
保守的水準(ROE5%) 1,266億円
通常ケース(ROE7%配当成長なし) 1266円
通常ケース(ROE7%配当成長有り) 1252円

となりました。ありえない程の保守的な水準つまり
大減損がはっせいしまくって、純利益が10年間1000億円が続くという悲惨なケースの場合の株価は1,202円+339円=1,541円となり現在の株価1847円を下回ります。

然し、既に減損は資源価格下落時に出している為、このような事態は想定しにくく、最も妥当な水準としては純資産価値のMinとMaxの平均1800円にROE7%の事業価値を加えた3050円が理論株価として妥当な水準であると思います。

いずれにせよ、かなり保守的に見積もったとしても元本の安全性は高く大型銘柄の中ではかなり割安な銘柄でアップサイドを多分に見込める投資先といえるでしょう。

ひふみ投信は元本の安全性を重要視しているので、大企業であってもこのような銘柄を選択しているということができると思います。

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