個別銘柄を用いてBM キャピタルの運用手法を研究

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このブログで最も資産運用に適している運用手法としてバリュー株投資を行いながらも、経営に働きかけることにより主体的に株価上昇の策をうつファンドであるとしています。

 

それでは、具体的に国内のファンドがどのように投資を判断し、最終的に売却しているのかという点を、過去の案件をみながら、説明していきたいと思います。

因みに、これはあるヘッジファンドからの四半期毎に送られてくる四半期報告書を参考にしております。この報告書を頂けるだけで相当勉強になる代物です。

 

今回は昨年の報告書から私がかみ砕いて簡単に説明します。
ですので内容としては本物の報告書より簡潔とはなってますが、エッセンスはご理解いただけるかと思います。

 

対象企業とその概要

対象企業:S社
業務概要:
独立系電気工事の大手企業。電力、民間、公共の各分野に展開。東南アジア中心に海外工事にも意欲。
上場取引所:東証第二部
投資時株価:417円

 

はい。前回私が個別で分析した丸八ホールディングと同じく初見の企業ですね。そもそも大企業の割合は全企業の0.5%ですからね。殆どが聞いたことない企業ということもこれまた現実です。

このような企業にこそお宝銘柄が眠っているのです。時価総額が200億をこえるような大企業は金融機関から分析されて、適正な株価で取引がなされてしまっています。

 

因みに日本は小型株が多く、なんと全市場合わせると4000企業以上が上場しています。
アメリカは日本の時価総額が5倍あるにも関わらず、上場企業数が1.5倍しかありません。
これが意味することは日本は小型株銘柄が非常に多く存在しているという点です。

想像していただければ、分かるのですが、地方の企業を証券会社が詳細に財務分析を行っていたらいくら人手があっても足りません。

また投資信託の組み入れはある一定金額以上でないと流動性の観点から行えない為、小型銘柄はカヤの外に放置され法外に安い価格になっていることが多々あります。

日本株はバリュー株投資に非常に向いている先進国市場といえます。

なぜ先進国市場と申し上げたかというと、新興国市場でバカみたいに市場全体が割安に放置されている株式市場が存在するからなのですが、今回は割愛します。
(参照:新興国への投資の中でも、イラン株への投資が特に熱い理由を詳しく解説する)

理論株価の算出

理論株価は前回と同じく以下の数式で算出されます。
(①現時点の純資産価値 +②今後の事業価値 ) ÷ ③発行済株式数

かみ砕いて説明すると、今企業が負債を差し引いた後で純粋にお金がいくらあって、
将来いくらくらい稼ぐんですか?この二つがその企業の価値ですよね!という式です。

個人に置き換えると、今資産いくらもってて、今後どれだけ稼ぐんですか?てことですね。

純資産価値

まずバランスシートを見てみましょう。純資産価値は純資産の部の合計を見て頂くと、437億円となります。

純資産は総資産から総負債を引くことにより求めることが出来ます。

然しながら資産の中には無形資産や建物・土地・商品などのような、記載されている数値の価値があるか不明瞭な資産が掲載されておりますので、一旦完全に保守的な現金同等物のみを保守的な資産として考えます。

すると以下のようになります。

現金77.8億円
受取手形及び売掛金 183.3億円
有価証券 40.5億円
貸倒引当金 ▲18.5億円
合計 283.2億円

因みになぜ貸倒引当金をひくかというと、この貸倒引当金は売掛金や受取手形が返済されないことを一定程度予め織り込む為の勘定で、企業の経験則に基づいて設定されています。つまり売掛金と受取手形の中から、返済されない可能性のものがこれくらいありますよーということで、現金性の資産から差し引きます。

この現金性の資産283.2億円から総負債134.7億円を差し引くことにより、保守的な純資産である148.5億円が算出されます。

 

このことから純資産価値は保守的な148.5億円から純資産436.7億円の間であることがわかります。

 

ここで発行済株式数は2000万株で自己株が100万株あるため、、市場に出回っている株式数は1900万株となります。

 

このことから1株あたりの純資産価値だけの理論株価は

 

Min 782円 (148.5億 ÷ 1,990万株)

~

Max 2,300円(436.7億 ÷ 1,990万株)

 

となります。保守的な水準ですら、投資時の株価417円を上回っております。

これ例えると、今100億円もってて、今後収益もあげる企業が、なんと80億円でうっていますよ!!

普通に買ですよね、こんな企業。ありえない程、お得な銘柄だと思います。

更に今回、本社と旧本社を千代田区に保有している土地にも着目しております。

 

本社の簿価価値37.6億円と旧本社の土地の簿価価値45.5億円が近年の地価上昇により上昇していることが見込まれ、実際には保守的な純資産額148.5億円よりも更に大きいことも詳細に分析し指摘しています。(ここでは割愛します)

 

事業価値

次に事業価値を算出します。平成26年度から収益が改善し、この4年間の平均営業利益は11.6億円となっています。

保守的に今後成長しないと仮定した場合の事業価値は

11.6億円 × 6.7 =77.7億円 となります。

 

この式は資本収益率を10%とし、会社を10年間存続するとしたた場合の今後の利益の合計です。資本収益率で割り引いています。まあこれは金利で割り引いて債権価格を算出するというのと同じ理論ですね。

 

具体的な計算式は
1 + 1 / (1.1) + 1/ (1.1)² + ・・・・・・・+1/(1.1) 10乗
の結果がこの6.7という数値です。

 

このことから事業価値のみの理論価格は

77.7億円 ÷ 1900万株 = 405円となります。

 

全体的な理論株価と出口戦略

以上のことから純資産価値と事業価値の合計により理論株価は以下のように算出されます。

 

Min 782円 + 405円 = 1187円

~

Max 2,300円 +405円 = 2,705円

 

となります。投資時点の株価が417円なので間違いなく買うべき銘柄ですね。

因みに現在も900円近辺です。

 

 

417円でひろって、2016年と2017年の前半はしずかーに時を過ごしておりましたが、

同社から以下のような発表がなされました。

 

海外事業で未払いになっている案件について貸倒引当金を充当していましたが、結局2億円支払われ、それに伴い繰延税金負債の取り崩しが可能となり約5億円の法人税の支払減額もあいまり、合計7億円の純利益が増加することを発表。

 

 

まあ、会計的な事象はさておき、急遽7億円純利益が増えますよ!という発表です。

これを市場に出回っている1900万株で割ると、一株当たりだと37円の上昇要因ですが、
翌日100円超のストップ高となりました。

 

その後も株価は上昇していき2017年後半の上昇につながり900円まで上昇していきました。

 

このように上昇していく仮定で保守的理論株価1187円に近づいたこともあり、830円で売却とヘッジファンドから報告がありました。

 

投資手法の強みとヘッジファンドへの投資の魅力

頂いたレポートを私が簡単にかみ砕いただけですので、実際はもっと詳細に分析されております。

 

このような銘柄を探し当てるの自体まず非常に手間がかかりますし、詳細に分析するのは更に労力がかかります。

 

また株価の推移をみて頂けると分かりますが、殆ど値下りしておらず底堅く推移しております。

 

また理論株価より圧倒的に割安な銘柄の場合、上記のように大して大きなニュースじゃなくても、溜まっていたマグマが爆発するかのように大幅な上昇を見せます。

 

この投資手法はバフェットの氏、グレアム氏から続く王道中の王道の投資手法であり、この王道手法を一流のファンドマネージャーによって実践していってくれるというのは非常に安心感のある資産運用だと思います。

 

更に、場合によっては大きな比率の株式を保有し、企業の経営に働きかけ株価を上昇させる施策を促すこともあります。

 

このような投資手法を主軸に添えたファンドに興味のある方は、以下私がまとめたランキングを参考にしてみてください!

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